和心回帰
WASHINKAIKI
いまこそ「江戸の風流な遊び方」を
翻って考えるに、現代日本の芝居見物の現実はどうでしょうか。「分刻みで運行する電車に揺られて通勤し、せわしない午前中を過ごしてから寸暇を惜しんで昼食をとり、再び午後の仕事に追われて一日をやり過ごした後、わさわさと劇場に向かい、しばし観劇を楽しんでから家路につく」と。これで果たして「素晴らしい」「楽しい」「おもしろい」といった芝居見物の喜びを満喫できるのかといえば疑問です。心の豊かさへとつながるはずの感動も浅いまま。ゆったりとした雰囲気と、心のゆとりがあってこそ、伝統芸能の奥深い楽しさを味わうことができるのではないでしょうか。また、観客席と舞台が融合して観客ひとりひとりが戯場国としてのワクワク感に溢れる劇空間を共有してこそ、初めて心から楽しむことができるのではないでしょうか。
日本の伝統芸能が直面する現実
娘義太夫研究家・水野悠子さんが大学生を対象に伝統芸能の基礎知識アンケートを行ったところ、『白浪五人男』の名せりふ「知らざァ…」に続く「言って聞かせやしょう」の正解者は、199人中たったの4人(正解率2%)、不正解14人、無記入181人という結果が出ました。
まさにいま日本の伝統芸能は危機的状況に瀕しています。現代の日本人は、外国の芸能であるミュージカルやオペラに親しみをもって劇場へ足を運ぶのに、日本の伝統芸能の世界に踏み込んでいけないという現実があります。理由は簡単です。内容がわかりづらく、感動できないからです。演目はリピーター対象のミドリ狂言が主流で、ストーリーを理解しやすい通し狂言は少なく、また、義太夫などの独特な語りは、さらに理解をむずかしくさせています。
わたしたち新日屋が「芝居茶屋」を立ち上げた背景には、日本の伝統芸能の「わかりづらさ」を解消し、日本の伝統芸能に初歩から気軽に触れることができる場を提供したいという思いがあります。欧米の文化を貧欲に吸収した現代日本の風俗や生活様式をもとに戻すことはできないながら、そうした中で和の心を取り戻す「和心回帰」を仕掛けていきたい。「芝居茶屋 新日屋」が、日本の古きよき伝統芸能や文化を再発見するきっかけとなり、それが世代を越えていつまでも続いてくれることを願ってやみません。
「和心回帰」を芝居茶屋 新日屋から
そして新日屋は「現代版 芝居茶屋」を目指します。わたしたちは、単に芝居見物のためのチケット販売をする業者ではありません。古典芸能に対する理解が深まる初心者向けの講座や、当日の観劇の出演者をお招きしてのトークショー、アングルを変えて舞台を眺めるバックステージツアー、名料亭での会席料理といった「プラスアルファ」を芝居鑑賞と組み合わせるのです。そして、一般のお客様が役者、芝居との距離をせばめられる機会や、着飾って劇空間に参加できるような場を提供したいと考えています。これにより、芝居見物の楽しさを何倍にもふくらませ、ハレの場の雰囲気を江戸の当時以上に盛り立てていけたらと考えています。
わたしたちは、徹底的にほんものの和を楽しめる場をつくり、和で癒される世界を広げていきたいと願っています。ある意味、わたしたちが売っているものは、「ゆったりとたおやかに流れる時間」といえるでしょう。
次世代につなげたい
和の伝統芸能や
文化の鼓動
やさしさは心の中に。
心の豊かさこそが
明日への活力に
忘れかけていた
日本文化のよさに
気づいてほしい
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